上顎は右上3番・犬歯だけが残っており、相当にぐらついていました。
その残存する歯をそのままにして、旧義歯をミラクル様に改造し、しばらく使用していただきました。
途中、その所謂差し歯（補綴物）が脱落、再装着が難しく、総義歯にするために残根上の義歯に改造しました。
下顎についても旧義歯をミラクル様に改造、調整をしながら約2年間使用していただきました。
プラスチックの義歯でありましたので、厚みはありましたが24時間装着可能な義歯で問題なく経過しました。
途中に中断もありましたが、約2年間治療に通われました。

2009/5/12
（上顎の総義歯、下顎のミラクルデンチャーのための印象採得）

2009/5/26
（上顎の総義歯、下顎のミラクルデンチャーを装着）

上はすごく吸い付きが良いです。
外すのに痛いぐらい。
でも上あごを大きくくりぬいてもらった。
総義歯には床が必要な事はわかっています。
しかし、それでは食物の味わいがありません。　
旧義歯も床をくり抜いてもらっていました。
この義歯も接着材を使ってもいいからくり抜いてほしいとお願いしました。
そしてくり抜いてもらった結果、おせんべいの味がすごく分かるようになった。
先ほど、くり抜いてもらう前におせんべいを食べましたが、味がほとんど分かりませんでした。

下は違和感がありませんねぇ。
入れているのは分かるけど嫌な感じがまったく無いです。
すごく自然です。
以前の改造した入れ歯より小さく、薄くなっていて本当に気にならない。
パーフェクトですね。
ここまでの道のりは長かったですね。たくさん治療があったからね。
だけど続けて良かった。
これで様子をみてみます。

2週間後ぐらいに、1度来て下さい。それまでに何かあれば連絡下さいと伝えました。
今回の装着状況は、これ以上のない極みでした。
上顎の総義歯に関しても、口蓋の床をくり抜くまでは脱離出来ないほど、吸着が良く最高でした。
また下顎のミラクルデンチャーも頂上を極めたような出来栄えでした。
おそらく、下顎に関して問題なく使用されると考えます。

2009/6/5
（上顎総義歯の吸着力を求めるために補修治療を行う）
　↓
良くなりました。この前とは違います。
下は問題ありません。
しばらくこれで噛んでみます。

上顎の総義歯に対して、前回、何も考えずにミラクルのように床を大きく単純に削合してしまいました。
相当な吸着力がありましたが、まったくと言っていいほど無くなりました。
今日まで義歯の安定材でしのいでいただきました。
今回、以前からの問題提起していた総義歯へのミラクル化は出来るのか、出来ないのかということの結論を求めます。

ミラクルメソッドで考え、対処しました。
予想通りの好結果が得られました。
第13回のＦＧ臨床研究会で初めて発表します。
前歯部のあたりは、ミラクル様に削除。
そのあとをどのように削合するのかを当日の定例の筆答試験に出題する予定です。
試験後、即、解説してＦG会員に知らせます。

2009/6/19
（ＴＥＬにて）

下は言うことありません。
上は安定材のファストンを付けているが、無くてもいけそうです。
最初とは、全く違う。
味はわかるし、違和感もない。
調子が良いので、１ヶ月ぐらい先に寄せてもらいます。
この前の調整で全く違います。
調子が良いので、今日キャンセルしました。

やはり予想していた結果が得られたようです。
総義歯であっても床を大きくくり抜くことができる。
これは、歯科医師であれば、待ちに待った朗報です。
しかし、その前に本来の総義歯で吸着が無ければ不可能です。
吸着があればくり抜くことが出来る。
それには、印象の採り方に全てがあると私は思います。
力のベクトルを加味して印象を採らなければならない。
印象こそ、総義歯の全てほとんどを決定すると考えています。